2022年2月27日

いつも同じ格好。


 







ができたらいいなと思う。その傾向がコロナ禍を機に強まってきた。

出掛けることが減ると必要な服の枚数が減り買う回数も減る。せいぜいコンビニやスーパーのワンマイルなのでスウェットのセットアップがちょうどいい。でもずっとスウェットは無理だ。

緊急事態宣言が出ておらず、まんぼうなら出掛けられる。そんな時はお気に入りの服を着て行きたい。ファッション誌はスウェットでいいんだと言っているが、それは平日がテレワークの人たちの世界の話で、ウィークデイが出勤の僕には関係のないことだと思っている。

スウェットは気に入った物を2つも持っている。そのうち1つはオリーブグリーンが綺麗なそれこそ街にも着ていけるであろう逸品だ(もう一方は杢グレーで着心地がいいこちらも大好きだ)。けれど週のうち5日をドレススタイルでかっちりとしていると、都会にスウェットというのは気が引ける。落差があまりにも大きいのだ。公共交通機関や店舗でずっと人目に晒されるのにそんな格好で耐えられるとは思えない。自信を持って着れることこそファッションの醍醐味なのだし。

ましてや言うほどスウェットで街中に出ている人を見ることがない。見かけてもやんちゃな若い子ぐらいだ。いい歳した自分が着ていたらファッションに興味がない人がほとんどの中では痛々しい。まともなサービスも受けられると思えない。

ファッション誌だって週末はおしゃれをしようと言っている。そうじゃないと服はスウェットしか売れなくなってしまうし(そう、スーツは見放された)、スウェットしか載っていないファッション誌なんて見たくない。


ここでようやくタイトルに触れられる。コロナ禍で週末はスウェットで過ごすことがほとんどになった。シーズン毎に服を楽しみたいと言っても着る機会が圧倒的に少ない。さらに昨今ではサステナブルという人類が避けられない問題も露わになってきた。服を頻繁に買い替えることへの抵抗が出てきたのだ。

僕たち中間層は長い間、アパレル業界にトレンドを喚起させられてそれに乗ってきた。お仕着せのように見えても僕らはそれを喜んで受け入れて乗ってきたんだ。長い間続けてきたこの流れはなかなか急には変えられない。毎シーズン着る服を替えるのが服好きの楽しみなのだ。普通の人だってトレンドはなんとなく気にしている。

そこで思いついたのが1シーズン1コーデというやり方だ。アウター、トップス、ボトムスを1着だけ買う。そして3か月それをずっと着るのだ。

これがやってみたら案外楽しかった。当然飽きがくるのは早かった。たまに街に出掛けるといつも同じ格好だから当たり前だ。けれど1着ずつ厳選して良い物を妥協せずに選んでいるから、飽きたあとに愛着がやってきたのだ。これは大きな発見だった。長く着れそうな1着を見つけられるかもしれないという希望が見えてきたのだ。

服好きの究極の目標はトレンドに左右されない自分のスタイルを確立させることだ。この理想への道が少し見えたかもしれない。冒頭の写真のCIOTAのデニムがとても気に入りこの先ずっと穿いていたいと思えた。こうした出会いは今までシーズン毎に服を買ってきた経験が活きたのだと思う。厳選できる眼が養われていた。

旅行も同じ格好で通した。1泊2日しかも冬ということで汗や汚れを気にせず済んだ面もあったけど、飽きながらも心地良いというこれまでになかった感覚を楽しめた。

同じ格好は飽きるが良い物を選べば心地良いし落ち着く。このことを発見できてこの冬はファッションがいつも以上に楽しかった。春も同じやり方でいこうと服を揃えた。ボトムスは色違いのCIOTAにした。


服を買いすぎることにはもう抵抗がある。だから1コーデだけ。そして厳選した物選びをして自分のスタイルを確立させていき、トレンドは適度に取り入れ楽しむ。これがこのコロナ禍でファッションのあり方を考えさせられた僕の今のところの結論だ。